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この世界の片隅に [映画]

昨年11月から公開されている話題作「この世界の片隅に」を
観てきました。話題作でありながら、なぜか上映館が少なく
遠くの映画館まで出かけました。
原作は漫画家のこうの史代が漫画アクション誌にて2年間連載
した作品で、第13回文化庁メディア芸術祭の漫画部門最優秀賞
を受賞しています。
この世界_05.jpg
物語は太平洋戦争中、広島の呉に嫁いだ18歳の少女「すず」が
見た戦争の日常を淡々と、時にコミカルに描いていきます。
「すず」が呉に嫁いだのは昭和18年、戦況は悪化し昭和20年に
は米軍機により軍港である呉は空襲されます。
物資は欠乏し、親しい人々を空襲で失い、それでも毎日を懸命
に生きる「すず」。
そして、昭和20年の夏がやってきます。

当時の暮らしを綿密にリサーチし、隣保班、配給など戦中ならでは
の日常を史実に沿った形で描かれていきます。その理不尽な状況で
も、限られた食材、物資を工夫し豊かな暮らしをしようと奮闘する
当時の主婦たちの姿勢に感動してしまいます。
その中でも「すず」が少ない配給米を工夫して炊いて、量を倍にす
る「楠公飯」に挑戦するシーンは関心しつつも、その結末が可笑し
くてついつい笑ってしまいます。
(すごく手間がかかる割に味は...のようです)

戦争中の世界を描いた物語ですが、「すず」を含め登場するキャラ
クターそれぞれが助け合い、毎日を楽しく一生懸命に生きている姿
がとても凛としていて、悲壮感は感じられません。
物語全体を通して感じることは、彼らを過去の戦災者として描くの
ではなく、我々と変わらない「ごく普通の市民」として描ききって
いる点です。だからこそ、呉が空襲されるシーンでは、愛おしき
彼らの頭上になぜ残酷に爆弾が落とされなければならないのか?
やるせなくて、胸が締め付けられます。
親しい人を失い、街を焼かれ...喪失感に打ちひしがれ、それでも
「すず」達は懸命に生きていきます。

この映画はクラウドファウンディングにより、一般の方から資金を
集め制作されたそうです。出資する側の作品に対する想いと、作り手
の作品に対する想いが高い次元で合致し、この素晴らしい映画が完成
したのだと感じました。

是非、劇場にてご覧いただくことをオススメいたします!




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コメント 6

conta

クラウドファンディングとは初めて聞きました。 これからクリエーターの資金調達手段として発展しそうですね。
by conta (2017-01-17 09:09) 

robert

conta様 NICE&コメントありがとうございます!
当時の国内映画クラウドファンディング支援金額として
は最高の3,900万円近くを集めたそうです。
今後もこう言った形で良い作品が生まれるといいですね!
by robert (2017-01-18 19:31) 

robert

AKI様 NICE!ありがとうございます!
「すず」の声を演じたのん(能年玲奈)さんがとても役に
はまっていて良かったです。全編広島弁なのですが、これも
自然に聞こえ、違和感なかったです。
by robert (2017-01-18 19:35) 

robert

ネオ・アッキー様 NICE!ありがとうございます♪
漫画の単行本3冊も買って熟読してしまいました。とても
原作に忠実に作られていて、漫画からファンの人達にも見
ごたえのある作品になってるとおもいます。
by robert (2017-01-28 12:51) 

robert

れっといっとびー様 NICE!ありがとうございます♪
広島の街並みや呉の港の風景がとても美しく描かれていて、
それを見るだけでもこの映画の価値があると思います。
制作陣は入念にリサーチを行い、美術に反映したそうです。
by robert (2017-01-28 13:00) 

robert

coregar様 NICE!ありがとうございます♪
劇中に使われるコトリンゴの「悲しくてやりきれない」
がとても印象的です(原曲:フォーク・クルセダーズ)。
音楽の完成度も高く、本当に良い映画です。
by robert (2017-02-19 11:49) 

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